【this and that】2SIDESの 80sや90s完コピなスウェットたち
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【this and that】2SIDESの 80sや90s完コピなスウェットたち
ふたりに会ったのは90年代半ばの原宿、当時「裏原宿」と言われるムーブメントがあったエリアです。その90年代半ばの「裏原宿」は、それ系のブランドがドッカンドッカンと開花していた頃で、彼等(かれら)はこれらのブランドの裏方として、寝る間も惜しんでパターン(服の設計図)を引き、指示書を書き、工場と折衝したりと大忙しです。
今回紹介する2SIDESはふたりの手引き専門のパターンメイカー(洋服の設計士)が十数年前に始めたブランドです。その後、しばらく休止していたそうですが、2年くらい前に、プリントや刺繍を入れたりする二次加工用のボディに特化したブランドとして復活しています。
とまぁ、ここまでは、普通のボディブランドといった感じですね。しかし、彼等はクオリティに加えて、さらなる ”売り” の部分があります。
それは”着用経験”です。
彼等が作るボディは基本的にずっと着続けてきた洋服が元となっています。
それは80年代後半から90年代の大量生産されたカットソーです。ふたりにあった頃も、最近も、まぁ同じものを着ています。その頃から、ず〜っと「ノームコア(ノーマル*ハードコア)」なふたりなのです。
とはいえ、90年代はつい最近なイメージで、ふたりが好きな服は(わたし的に)ビンテージな感じはまったく受けません。ただただ、普通の(ノーマルな)服だと思っていました・・・サンプルが出来上がるまでは・・・
彼等はそれを完全にコピーをしようと試みます。パターンメイカーですから、再現力はかなりのものです。
海外ボディは大量生産なので、ミシンや縫製方法も違います。そこへ限りなく近づけるために、出来上がったサンプルから縫製指示をふたりであれこれ議論しています。パターンも当時の服を改めて分析しながら「なるほどね」などと感心して、楽しそうです。
こうして、完コピな洋服が出来上がりました。素材はかれらの意向で日本の最新技術な綿素材を使っています(ここはふたりのこだわりだそうです)。
しかし、普遍的なシルエットだと思っていた当時の服たちですが、出来上がりを着てみたら想像と全く違います。アームホールが想像以上に広かったり、着丈も微妙に短かったりと、全てのバランスが違和感です。
最初のサンプルを着たとき、「なにこれ?」って感じです。
実は、最近リリースされている90年代風のウェアは当時のシルエットではありませんでした。継続していると思った定番アイテムも、ひそかに完全にアップデートされ、今風のシルエットに変貌していたのです。
当時のシルエットは絶滅していたことを知りました。なのに、完全にトレースされた元サンプル(古着)だと、違和感を感じないんです。なぜだか、古着には寛容になっています。だから、新品を着るまで気が付かなかったのです。
2SIDESはボディを通して、彼等の経験に少し相乗りするような・・・そんなブランドです。
また、実は絶滅していた80年代から90年代の大量生産のシルエットは、今の流行への挑戦状です。この大変に乗りにくい2SIDESのウェアを着こなした時、気に入った古着をその後も愛用するような普遍の安心感を得られるのでしょう。
最後に、なぜ、ふたりはボディに特化したブランドを目指すのか?
それは、いままで裏方で支え続けてきた彼等のアチチュード(姿勢)なのだと思います。だから、わたしがこうしてブランド紹介するのも気乗りしないかもしれませんね。